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eyes to me~ 私を見て
第30章 さよなら、愛しい獣
その言葉に、真理の全身がビクンと大きく脈を打った。
――聞き間違いか?
心臓が暴れるのを宥めようと深呼吸するが、美名の腕が首に絡み付き身体をぴったりと寄せて来た時、その唇が胸元に当たり一気に獣が覚醒する。
昨夜、一瞬とはいえ一糸纏わぬ姿を見てしまい、脳裏にその美しさが焼き付いたまま、美名をこの腕に包んで過ごしたが、総てを奪ってしまいたい欲望と一晩闘っていたのだ。
美名はまだ綾波に気持ちがある。
こちらを向いてくれるようになるまで、ゆっくりと大事に暖めていくつもりだった。
けれど今にも理性が、甘美な誘惑にあっさりと屈してしまいそうだった。