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第31章 騎士の反撃

　翔大がエレベーターで一階に降りると、病院に併設されているカフェ
　"ムーンバックスコーヒー"
　のレジで志村が電話をしているのを見掛けた。
　志村は翔大と目が合うと、電話を切り手を上げた。

｢まだいらっしゃったんですか？｣
｢私ね、ムーンバックス中毒だから、ここに来たら買いに寄るって決めてたのよ～！
　あ……そうだ翔大君、もう退院なのよね。
　バスで送っていくわよ？｣
｢いや、お気持ちだけで……まだ美名が気まずいと思いますから｣

　志村はハッとした。

(そうだわ。
　そういえば美名ちゃんと真理君、あの雰囲気は何なのかしら……
　よくわからないけど今あの二人に翔大君を会わせるのは上手く無さそうね……)

　志村が思案していると、電話で呼びつけられた一行がゾロゾロやって来た。
　桃子と、真理と美名と……

(……げっ！
　美名ちゃん、起きて来たのね)

　しかも、真理と美名は仲良く手を繋いでいるではないか。
　志村は、背中に嫌な冷たい汗が伝うのを感じた。