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eyes to me~ 私を見て
第32章 新しい恋と、忘れられない恋と
美名を初めて見た時の胸の高なりを今でも覚えている。
志村に手を引かれて現れた美名はまさにプリンセスだった。
最初は、可愛いだけの女の子でしかなかったのに、合宿で美名と演奏をした時、真理の中で天使が降臨したのだ。
その声が発せられた瞬間、身体中の毛穴が全部開いた様な感覚に囚われた。空間がビリリと震動し、目に見えない力で総てを鷲掴みにされる様な……
けれど、普段の美名は素直で普通で、一生懸命に恋をする女の子で、綾波に夢中だった。
急速に美名に惹かれていく自分に戸惑いながらも、この気持ちは漏らすまいと思っていたのに……
真理は、綾波が態度を豹変させたのを訝しく思っていた。
見るからに嫌味な男だが、美名をいとおしげに見る目には、確かな愛があった筈だ。