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eyes to me~ 私を見て
第32章 新しい恋と、忘れられない恋と

「……翔大を殴ったのは……単に自分の物に手を付けられて面白くなかったからです。
 けど、馬鹿馬鹿しくなりましてね……
 俺は、思い通りに抱ける女なら美名じゃ無くても良かったんですよ。
 他の奴に触られた女になど、もう興味はありません」

 綾波は平坦な口調だった。
 志村は納得をしてない目をしていたが、頑なな綾波の態度を崩すのは至難の業だと諦め、ふうと息を吐く。

「まあ……あなた達の間に何があったか、他人の私には詮索する権利はないし、言いたくないなら、それでも良いけれど……」

 志村は綾波の肩を叩いた。

「本当に困る前に私に言ってね?
 美名ちゃんや真理君や由清君も可愛いけれど、私は貴方の事が一番心配なのよ……」
「ありがとうございます」

 綾波は鉄壁の守りの笑顔を崩そうとしない。
 志村は肩を竦めてまた深く溜め息をついた。

「まあ、飲みながらでも、これからのプランを練りましょう。
 翔大君が抜けた今、大幅な予定変更しなくちゃだしね」

 志村は奥の部屋から秘蔵のワインを出してニヤリとした。

「さあ、作戦会議よ?今夜は寝かさないから覚悟してね?」
「ハハハ……怖いなあ」

 二人は深紅の液体で満たされたグラスを傾けてチンと鳴らした。



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