この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
eyes to me~ 私を見て
第33章 新生princess&junky
「――!」
腕を掴まれて、顎を上に向かせられる。
「……何を泣いている」
「……な、何でもないです」
「それが何もない顔か?」
綾波は、美名の涙に動揺していた。
よく泣く女だという事は知っている。
だが、肩を震わせ、泣くのを懸命に堪えている姿を見ると胸が堪らなく痛む。
一緒に居た頃は、身体を投げ出し、甘えるように泣いていたのに……
距離を置いている今、そんな事をする訳がないのだが、目の前で泣かれると抱き締めたくなってしまう。
涙を溜めた目でじっと見つめる美名が何を思っているのか……
俺が憎いのか、それとも……
熱の籠る彼女の瞳の中に、二人で居た頃向けられていた恋情が見える気がする。
(美名は俺を憎んでいる……
勘違いして突っ走ったらダメだ……)
綾波は唇を噛み締めた。