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eyes to me~ 私を見て
第33章 新生princess&junky
綾波は、美名から手を離し、運転席に深く腰かけた。
溜め息をついてから、事務的に語り掛ける。
「体調が悪くないなら良い。
取材中はちゃんと切り替えろ。
訳のわからん事でピーピー泣くな」
「は、はい……すみません」
「せいぜい幸せにしてもらえ……
俺にはどうでも良いことだが」
綾波が車を発進させ、冷たく言い放つと、美名はカッとなり小さく叫んだ。
「……綾波さんが、聞いてきたんじゃないですか……!
もう私の事は放っておいて!」
「……」
そっぽを向いて肩を震わせている美名の表情を、長い髪が隠す。
綾波はチッと舌打ちしたくなった。
三広に言われた言葉を思い出す。
『綾ちゃん……俺に言ったじゃんか!
好きなら行動しろって!……綾ちゃんがそう言ってくれたから俺は……!
綾ちゃんの意気地無し!』
(意気地無しか……)
綾波は、自嘲的に口元を歪め笑った。