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eyes to me~ 私を見て
第33章 新生princess&junky
由清は長い睫毛の瞳をふせ、唇を歪めた。
「……翔大の言う通りです……」
「……?」
「俺は……翔大みたいな才能も、真理みたいなガッツもない……
ただ流されて、何となくここまで来ただけなんです……
ホストをしていたのも、バンドをやっていたのも特に理由なんかありません……」
「理由がなきゃ、ダメなのか?」
綾波の言葉に由清は顔を上げた。
「大層な理由なんて必要ない。
お前達は選ばれたんだよ。あの志村さんにな。
自分を信じられなくても、志村さんを信じろ……」
綾波が真っ直ぐに見つめて低い声で言い聞かせる。
由清は黙ったまま小さく頷いた。
「さて……翔大のバンドにマネージャーとして挨拶してくる……
そんな情けない顔をするな。色男が台無しだぞ」
内心、大丈夫なのか、と思った。
美名の存在が、バンドの和やメンバーのメンタルを乱してしまっている。
(美名の歌声は素晴らしい。だが、美名は……)
綾波は、そこまで考えて胸に痛みを覚えた。