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eyes to me~ 私を見て
第34章 蕀(いばら)を踏みしめる歌姫
ペコは目を見開いた。
「これ、知ってるわよ!この子達だったのね!
……あら、この男の子、バンドを変わったの……?」
動画に引き込まれ見いっていたら、あっという間に終わってしまい、二人は同時に溜め息を付いた。
「いいわねえ――」
「ですよね!けど……この時、こんなにイキイキしていい顔をしているのに……何故でしょうね」
「……堺ちゃん……またお節介の虫が騒ぎ出す感じ?」
「いや……どうせなら、一番いい表情で撮りたいんです」
「はあ~その目は、スイッチ入っちゃったわね。
堺ちゃんは惚れっぽいから!」
「惚れるのは被写体とミュージシャンとしての生き様に、ですよ」
堺はあたふたとカメラやらレコーダーを持ち出し、ドーナツをくわえてそそくさと出ていく。
「ひっへひます!」
「はいは――い。頑張り~」
ペコはカップのブラックコーヒーをすすり、美名の写真を改めて眺めた。
「……これは……恋に苦しむ乙女の目よねえ……切ないわあ……
でも……溺れたら、あっという間に潰れるわよ……」