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eyes to me~ 私を見て
第34章 蕀(いばら)を踏みしめる歌姫
「この位構わん」
「……お化粧直して来ます」
洗面所に行こうとすると、腕を掴まれて椅子に座らされた。
「お前は不器用だからな……俺がやってやる」
「……っ」
「じっとしてろ」
綾波が器用にメイクを直して行く。
ブラシやパフの優しい感触がくすぐったい。
(そういえば、以前もこうしてお化粧をしてくれた……)
「あ、綾波さんは」
「……口は今閉じておけ」
「んっ」
真剣な眼差しで、顎に手を添えて唇に丁寧にブラシで口紅を塗っていく
繊細な手つきで、上唇から下唇まで撫でられて、思わず背中がゾクゾクした。
まるで口付けをされている気持ちで、美名は目を閉じて綾波のするのに任せていた。