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eyes to me~ 私を見て
第34章 蕀(いばら)を踏みしめる歌姫




「さっきの笑顔、いい感じだったね」

 堺は話しながら、またシャッターを切る。

 (とても自然な動き……)

 堺がシャッターを切るのが、まるで瞬きのようだった。

「ああ、僕の事は空気か何かだと思っててね?
 自然にしててね?」

 さっきつまづいて転んだとは思えない位に軽やかな足取りで動き、シャッターを切る。
 綾波はククッと笑った。

「どうやら、お前に随分と堺さんは惚れ込んだらしいな」
「え……っ」
「見ろよ……カメラ越しの堺さんの目を」

 堺のクリクリした瞳は、宝物を見つけた冒険王みたいだ。

「お前は、俺が見出だした歌姫だからな……
 俺がお前を一目見て惚れた様に、堺さんも惚れたのさ」
「!」

 頬が燃えるように熱くなる。




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