この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
eyes to me~ 私を見て
第34章 蕀(いばら)を踏みしめる歌姫
「いや~!今日は本当に来て良かったです!
今撮った写真も使わせていただきたいのですが大丈夫ですか?」
「勿論、構いません」
「昨日よりずっとリラックスして素敵なお顔でしたよ……
やはり、恋人同士ゆえに一番良い表情を引き出せたんですかねえ?」
美名は、堺の一言に心が粟立つ。
綾波は、美名をちらり、と見てから堺に答えた。
「いや……俺は、単なるマネージャーですから」
「…………」
分かっては居た答えだけど、舞い上がって居た心は完膚無く叩きのめされてしまう。
胸の中に居座る重く苦しい固まりが、また燻る恋情を苛み始める。
「ええっ?違うんですか?僕はてっきり」
堺は目を丸くした。
「……ごめんなさい……ちょっと失礼します」
耐えきれず、美名は堺にペコリと頭を下げて洗面所に駆け込み、泣き崩れた。