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eyes to me~ 私を見て
第35章 ガラクタと歌姫と
昼下がりの渋谷は人でごった返していた。
学校帰りの女子高生やら忙しく足早に歩くビジネスマン、いかにも地方から遊びに来た風にキョロキョロしているカップルに、怪しげな勧誘のビラを配る集団。
美名は履き慣れないヒールで走ったが、つまづいてしまい、誰かにぶつかってしまう。
「す……すいません」
足元を見ると、ヒールが折れていた。
思わず溜め息を付くと、嫌な感じの声がした。
「お姉さん……ちゃんと周りを見て歩いてよね?
……あイタタタ……ぶつかった胸が痛いよ……」
黒いシャツに赤い派手なネクタイをした若い男性が、顔をしかめて胸を押さえている。
「す、すいませんでした……大丈夫ですか」
「大丈夫ですかあ?だって?」
大きな声を出されてビクリとするが、腕を掴まれて舐める様に上から下まで見られた。