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第37章 ミッション・イン・ポッシブル

　寝室の様子を見にそっとドアを開けると、美名はスヤスヤ寝息を立てていた。
　綾波はリビングに戻り、パソコンを開く。

(志村所有の不動産やスタジオ、出入りする場所は膨大にある。
　総てを調べるのは無理がある……)

　思わず頭を抱える。

(志村さんは若き頃から芸能界の第一線でやって来た猛者だ。
　色んな事を見てきただろうし、良い時ばかりではなかっただろう……)

"心当たりが有りすぎて困るわあ"

　そう言っていたが、あれは決して大袈裟ではないのだろう。
　大室でなくても、成功者の志村を逆恨みする者は居る……
　正直、盗聴はいたちごっこだ。
　取り去っても取り去っても、また手を変え品を変え場所を変えて忍び寄ってくる。