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eyes to me~ 私を見て
第40章 桃子、舞踏会へ
「んふっふふふ――んふんふんら――ん」
ポキノン編集部のデスクではペコチーフが新作の 鼻唄を歌いながらパーティのお品書きを書いていた。
「ご機嫌ですね、チーフ」
堺が声をかける。
ペコは蝶の小さなチャームをフレームにぶら下げた女王様眼鏡の中の目をキラリとさせた。
「ふふん。そりゃあね……明後日のパーティで堺君お気に入りの歌姫に会えるんですもの」
達筆な文字で特注の手漉きの和紙に一枚一枚料理の品目を綴るのを、堺は覗きこみ感心していた。
「パーティスタッフに任せれば良いのに、そういう所に拘るのがペコチーフたる所以ですね」
「そうよ……ポキノンが十周年を迎えられるのは応援してくださる読者様にスタッフ、記事をもり立ててくれるミュージシャン様達のおかげですもの!
心を込めておもてなししなくちゃ!
印刷のゴシック体文字なんて味気無さすぎよ!
……ほ――ら、一枚ずつ絵も書いてあるのよ?可愛いでしょう?おーっほほほほ」