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eyes to me~ 私を見て
第40章 桃子、舞踏会へ
「う――ん、流石俺!あと少しで綺麗になるじゃんか!
便利屋でも始めようかねえ~」
窓にフーと息を吐いて布で擦っていたら、不意に頭に衝撃を覚えた。
ギョッとして振り返ると、恐怖で腰を抜かす。
「――ひいっ」
綾波が手をバキバキ鳴らしながら健人を底冷えのする瞳で見下おろしていた。
「お前……此処で何をしている!」
健人のマスクと頭の三角斤を剥ぎ取ると、綾波は呆気に取られた。
「お前……確か……あの時の……チンパンジー……じゃなくて何だ」
「ライオン丸こと竹下健人っす!兄貴!お久しぶりっす!」
健人は洗剤を手に、シャキッと背筋を伸ばした。
「……お前にまた会ったらぶちのめしてやる、と言ったのを忘れたのか?あ?性懲りもなくまた不法侵入しやがって!」
低い声で凄んで首を締め上げると健人は悲鳴を上げた。
「ひっ……す、すんません!今日は……ちゃんと大家さんに許可を取って鍵を開けてもらったっすよ!」
「はあ?」
「親類だ、て言ったら鍵を貸してくれたっす」
「……ここの大家はあてにならんな……全く」
綾波は溜め息をついた。