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第41章 歌姫、舞踏会で歌う

　
　聖恵は背中に顔を埋めたままで涙声で懇願する。

｢お……お願いっ……お願いします……怒らないで｣
｢あ――綾波君……女の子がこんなに頼んでるんだから、今は堪えなさい！ねっ？｣

　志村にたしなめられ、綾波は諦めた様に笑う。
　聖恵に向き直り、優しく言った。

｢分かったから……泣くな｣
｢は、はい……っ｣
｢――――！｣

　二人のやり取りを間近で見た美名は色を失う。

(剛さん……そんな優しい目で……他の子を見ないで……！)

　翔大はそんな美名をじっと見て薄く笑った。

｢聖恵、おいで｣

　手招きすると、聖恵は皆と美名にペコリと礼をして翔大の元へ走って行った。