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eyes to me~ 私を見て
第41章 歌姫、舞踏会で歌う

胸がざわめいて身の置き所がない。
美名は綾波の背中にもたれ掛かった。
「どうした美名……」
綾波が、腰に回された美名の手を握る。
「ようこそ美名さん!今日も素晴らしくお美しい!」
堺がニコニコと手を広げて歓迎のポーズでやって来る。
美名は綾波の背中から僅かに顔を出してチョコンと頭を下げるので精一杯だった。
泣きそうになるのを堪えていた。
「美名?どうしたよ」
真理が顔を覗き込み、その表情を見ると、キッと綾波を睨んだ。
「おい!お前、美名に何かしたのか?泣きそうになってるじゃないか!」
「ま……真理く」
「お前に心配してもらう必要はない……」
真理はカッとなり綾波の襟元を掴んだ。
その時、ロビーがワッとどよめき、人々は入り口に注目する。
堺が背筋をピンと伸ばして歩いて行き、やって来た人物に礼をした。
「ようこそいらっしゃいました……大室さん」

