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第41章 歌姫、舞踏会で歌う

　堺は綾波を促してステージが良く見えるテーブルまで来ると、シャンパンを注ぎ差し出した。
　翔大と美名は、何のタイトルかは忘れたが、昨年大ヒットした男女のデュエットのポップスを一緒に歌っている。
　見事なハーモニーだ。
　癪だが、ステージに並ぶ彼らはとても様になっている。
　翔大が美名の肩を然り気無く抱いて、会場からはおおっと囃し立てる声が上がった。

｢……あいつ｣

　色を失う綾波を、堺が穏やかな笑顔と共に手で制した。

｢堺さん……｣
｢心配なのは分かりますが……
　今その勢いで出ていったら美名さんとの関係が知れてしまいますよ｣
｢……っ｣

　綾波はシャンパンを一気に飲み干した。