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eyes to me~ 私を見て
第42章 愛欲の塔で
「う――ん……〇〇区の最後にスウィートの付く長い名前のマンション……」
「運転手さんっ!何とか早く見つけてくれよ!美名がピンチなんだよ!」
「……そう言われましても……」
「そうだよ真理……桃子ちゃんから聞いたマンション名を忘れるなんて」
「この辺はベッドタウンでマンションだらけですからね……」
タクシーの後部席でギュウギュウに座った真理と由清と堺は外の風景を睨む。
綾波の厳しい眼差しがミラーに映っていた。
「セキュリティ系が厳しい高級マンションで似たような名前の所は……?」
綾波が聞訊ねると、運転手は首を振る。
「それこそ、高級マンションも沢山ありますからね……探してますがなんとも」
「おいっ!頼むよ!運転手さんが頼りなんだ――!」
真理が後ろから首を締めると運転手は目を白黒させ、操作が乱れて車は反対斜線に飛び出した。
対向車からクラクションを鳴らされ、皆悲鳴をあげる。
綾波が横から素早く手を出してハンドルを切った。
「バカっ!何やってんだ!」
綾波は、真理の頭にゲンコツを降らす。