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eyes to me~ 私を見て
第2章 歌姫は獣と出逢う
垢抜けたデザインのグレーのスーツを着こなし、長い手足をもて余す様な印象の男。
ただ立っているだけなのに、一枚の絵画のように様になっている。
細い眼鏡の中から覗く瞳は鋭く、肉食獣を思わせて、何故か目が離せない。
時間が止まってしまったように、ふたりは見つめ合った。
『ママ――!電話だよ――!ママ――!電話だよ――!』
Gパンのポケットのスマホがとんでもない着メロで鳴って、慌てて出る。
『姉ちゃん?あたし!元気?バイトはどう?
例の彼氏はどうなったの?音楽活動は順調?何処かにスカウトされたりした?
誰か有名人に会えた――?』
「桃子……そんなに沢山一度に質問しないでよ」