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eyes to me~ 私を見て
第43章 罪×罰
「そんなに俺が嫌いなのか……っ」
壁に両手を付き、何度も頭を叩きつける。
目に痛みを感じて触れると、額から血が伝っていた。
この高さから落ちた美名を、綾波は何の迷いもなく受け止めた。
命がけで綾波は……
綾波を呼ぶ悲痛な美名の叫びが鼓膜に張り付いている。
「俺は……自分の事しか考えてなかったな……」
掌に付いた生温い血は、綾波が流していたそれを思い出させた。
六年前に手放した美名を、取り戻したかった。
デビューして、ミュージシャンとして売れたら、何もかもが昔の様に戻れると思っていた。
「とんだ馬鹿だな……俺は」
自嘲的に笑った時、インターホンが鳴った。