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eyes to me~ 私を見て
第43章 罪×罰
そのひたむきな色は翔大の胸を打つ。
聖恵はバッグからハンカチを出して、翔大の額や唇の端に滲む血をそっと拭った。
「私は……私は……もう……翔大さんには要らない女なのは分かってます……」
涙を溢しながら懸命に手当てをする聖恵は、救いの天使に見えた。
「けど……翔大さんは……私にとって……た……ただ一人の……だ……から……」
しゃくり上げて泣き出しそうになった瞬間、翔大は聖恵を抱き締めていた。
「……聖恵……っ」
「し……翔大さん……っ」
いつの間にか溢れた翔大の涙が、聖恵の柔らかい髪を濡らした。
その時、翔大のマンションの窓の灯りを見つめる庄森の姿が外にあった。
聖恵が出てこないのが分かると、長い息を吐き出して満月の明るい夜空を見上げて呟いた。
「けっ。やってらんね――ぜ……帰るか……」