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eyes to me~ 私を見て
第44章 デビュー前夜
セルを回すと、真理は右手を挙げていつもの掛け声をする。
「倉田真理号~出発~進行~!」
「お~!」
美名も助手席で、つられて手を突き出す。
「さ~安全にすっ飛ばして行くぜ!」
対向車のヘッドライトに時折照らし出される真理の表情が、頼もしくて美名はじっと見つめた。
真理は美名の視線にドギマギして、隠すようにわざとおどけた。
「なんだっ?そんな熱い目で見て!惚れたかい!ハハハ」
「私……真理君……好きだよ」
「――!?」
ギョッとして、危うく対向車線にはみ出してしまい慌てて急ハンドルを切る。
「きゃっ」
美名はよろめいて、真理に凭れる体勢になった。