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eyes to me~ 私を見て
第44章 デビュー前夜
次第に美名の足取りが速くなる。
真理も大股に歩き追い掛けた。
後ろ姿だけで、美名の気持ちが逸っているのがわかる。
愛する男の元へ一秒でも早く行きたいのだろう。
緑の非常灯がある突き当たりの病室の前まで行くと、立ち止まり深呼吸して扉をそっと横へと引いた。
真理も後から入る。
小さな灯りが一つだけ点いた広い病室のベッドに仰向けに横たわる綾波が居た。
数値を測る機械に囲まれて、プツプツと規則的な電子音が響く中で眠る綾波は、一見ただ普通に眠っているかの様に見える。
今にも起きて、皮肉の一つでも言いそうだ。
美名が瞳を揺らして傍に立った。
「剛さん……」