この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
フルカラーの愛で縛って
第1章 檻

10分が経過して、残り5分。
詩織の視界の中で、男が立ち上がった。
赤い何かを揺らしながら、彼がシートの中に踏み入ってくる。
始まる前に見た、あの液体に間違いない。
「髪が少し汚れるけど、今日は大丈夫だったね?」
「はい」
確認という名の指令だ。
いっそ尋ねずに勝手にやればいいのに。
そう考える詩織は、だが、断る権利も持っていない。
断ることもできず、被害者の立場に立つことさえも許されない。
ポン、とボトルキャップを開ける小気味よい音が聞こえ、数秒も待たずして彼女の膝上がヒヤリと冷たさを感じた。

