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フルカラーの愛で縛って
第8章 微笑
「なぁ。今夜、あれ弾かない?」
「あれ?」
振り向いた詩織の鼻先が、庵原の鼻先を掠めた。
あまりの至近距離に、反射的に目元を赤らめる詩織に、庵原が細い瞳を更に線のように細めて微笑む。
「スマイル」
その言葉に一拍固まってから、詩織が思い出したように、瞬く。
庵原を見つめる、その耳に、何やら愉しそうに笑う仲間の声が触れてくる。
目の前には、誘いかけるように微笑む庵原がいる。
「……」
提案に笑顔で頷いた詩織を、庵原が背後に回って後ろから抱きしめた。
誰にも聞こえないよう、その耳元で、密かに囁く。
「変な客ついても、俺が守るし」
その言葉に、詩織が思わず笑みを深めて、温かい腕に自分の指を絡めた。
言葉を返さず、指の動きで感謝を伝える詩織に倣って、庵原も改めてアゲハを見つめた。
2人の視線の先で、”アゲハ”が濡れた羽を震わせながら、目を覚ます。
きっと彼女も、総天然色の空の下、微笑みながら羽を広げたに違いない。
背後に感じる男の温もりに、詩織は幸せそうに目を閉じた。
瞼の裏に、美しい青空が、一瞬、ぱっと広がったような、そんな心地よい温もりが、彼女の身体を柔らかく包み込んだ。
-Fin.-
「あれ?」
振り向いた詩織の鼻先が、庵原の鼻先を掠めた。
あまりの至近距離に、反射的に目元を赤らめる詩織に、庵原が細い瞳を更に線のように細めて微笑む。
「スマイル」
その言葉に一拍固まってから、詩織が思い出したように、瞬く。
庵原を見つめる、その耳に、何やら愉しそうに笑う仲間の声が触れてくる。
目の前には、誘いかけるように微笑む庵原がいる。
「……」
提案に笑顔で頷いた詩織を、庵原が背後に回って後ろから抱きしめた。
誰にも聞こえないよう、その耳元で、密かに囁く。
「変な客ついても、俺が守るし」
その言葉に、詩織が思わず笑みを深めて、温かい腕に自分の指を絡めた。
言葉を返さず、指の動きで感謝を伝える詩織に倣って、庵原も改めてアゲハを見つめた。
2人の視線の先で、”アゲハ”が濡れた羽を震わせながら、目を覚ます。
きっと彼女も、総天然色の空の下、微笑みながら羽を広げたに違いない。
背後に感じる男の温もりに、詩織は幸せそうに目を閉じた。
瞼の裏に、美しい青空が、一瞬、ぱっと広がったような、そんな心地よい温もりが、彼女の身体を柔らかく包み込んだ。
-Fin.-