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フルカラーの愛で縛って
第1章 檻

檻の看守を見送って、詩織は束の間の休憩を与えられる。
もうポーズを崩していい。少し身体を動かさないと、次の15分が苦痛になる。
通常のアートモデルならば、休憩になるとバスローブ等を着て退室すれば良いが、この家では槙野がルールブックだ。
彼は1度描き始めたら、全てが終わるまで、彼女の肌が何かに覆われるのを嫌う。
自分が布や液体をかけるのは構わないが、彼女が自ら身に纏う行為は禁止事項だ。
全てが、終わるまで。
「……」
心臓の鼓動が早くなっているような気がする。
詩織は暫く微動だにせず、気持ちを整えようとしていた。
(見ちゃだめ)
見ることは、彼の言葉に屈服することを意味している。
(見る必要なんて無い)
(見ても良いことなんて無かったでしょ)
(濡れてるはず無い)
(あの男の、汚い嘘)
(見たら後悔する)
(あの男の言葉に、何度騙されたの)
視線を揺らすことも忘れ、詩織はゆっくりと椅子に引っ掛けていた右足を降ろした。
一瞬、濡れた気配を感じた。
遠くを見つめたまま、詩織は自分の淫らな割れ目に震える指を伸ばした。
そこは、しっとり濡れて、ぬめった涎を垂らしていた。

