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曖昧なままに
第10章 密かに去って
精子は愛美の目の前で吹き上がり、主に俺自身の腹の上に飛び散っていた。
「アハ、出てる出てる」
愛美は右手の動きを緩やかに変え、残りの射精を誘ってゆく。
その迸りが終わった後、竿の裏側を親指で強く絞るように下から上へグッと擦る。そして尿道に滲んだ精子の滴を、窄めた口でちゅっと吸い上げた。
それから、白濁を浴びた俺の腹を見て――
「あーあ、またお掃除しなくちゃ。全く、世話の焼けるお兄ちゃんだ」
と、ため息。その言葉通り掃除をするかのように、腹を舌を這わせて丁寧に舐めて取ってゆく。
「……」
愛美の舌を感じながら、俺は気が抜けたように黙り、ただ白い天井を見つめていた。
※ ※
俺は暫く、微睡の中にあったのであろうか。
「洋人さん……」
その声を耳にして、俺はハッとした。
いつの間にか掛けられていた毛布を剥ぎ取り、身体を起こすと声のした方を見る。
「!」
そこに立っていたのは、もちろん愛美……だが。結んでいた髪を解き、部屋に来た時の服を着用。その表情も合わせ、すっかり普段の彼女の姿に戻っている。
「ああ、俺……寝てたのかな?」
「ええ」
「そっか……ごめん」
「いえ」
「……」
正直言って、顔を合わせられなかった。アイナとしての彼女に対するバツの悪さもそうだが、愛美に戻ったことにより新たな気まずさも生じている。
「では、私そろそろ帰ります」
「あ、うん。そうか……」
この一日は何だったのだろう。結局、俺は空回りし振り回されて。否、当然それは自業自得か……。
状況は変わらず、寧ろ若干の悪化。それでもようやく愛美と話せる機会でありながら、俺は帰り行く彼女を黙って見過ごそうとしえいる。とりあえず今は、一人になりたいという気分を優先させていた。
しかし――部屋を出ようとした時、愛美はふと足を止めそっと俺を振り返る。
「洋人さん」
「はい……?」
「その方と――お付き合いすれば、いいと思いますよ」
「え……」
その方とはつまり、奈央のことなのだろう。どうやらアイナとその兄との会話は、愛美にも真実として受け入れられたらしい。だが、それなら――
「愛――」
「また、連絡しますから」
引き留めようとする俺の声を打ち消すよう、微笑を向けた愛美はそのまま部屋を後にした。
「アハ、出てる出てる」
愛美は右手の動きを緩やかに変え、残りの射精を誘ってゆく。
その迸りが終わった後、竿の裏側を親指で強く絞るように下から上へグッと擦る。そして尿道に滲んだ精子の滴を、窄めた口でちゅっと吸い上げた。
それから、白濁を浴びた俺の腹を見て――
「あーあ、またお掃除しなくちゃ。全く、世話の焼けるお兄ちゃんだ」
と、ため息。その言葉通り掃除をするかのように、腹を舌を這わせて丁寧に舐めて取ってゆく。
「……」
愛美の舌を感じながら、俺は気が抜けたように黙り、ただ白い天井を見つめていた。
※ ※
俺は暫く、微睡の中にあったのであろうか。
「洋人さん……」
その声を耳にして、俺はハッとした。
いつの間にか掛けられていた毛布を剥ぎ取り、身体を起こすと声のした方を見る。
「!」
そこに立っていたのは、もちろん愛美……だが。結んでいた髪を解き、部屋に来た時の服を着用。その表情も合わせ、すっかり普段の彼女の姿に戻っている。
「ああ、俺……寝てたのかな?」
「ええ」
「そっか……ごめん」
「いえ」
「……」
正直言って、顔を合わせられなかった。アイナとしての彼女に対するバツの悪さもそうだが、愛美に戻ったことにより新たな気まずさも生じている。
「では、私そろそろ帰ります」
「あ、うん。そうか……」
この一日は何だったのだろう。結局、俺は空回りし振り回されて。否、当然それは自業自得か……。
状況は変わらず、寧ろ若干の悪化。それでもようやく愛美と話せる機会でありながら、俺は帰り行く彼女を黙って見過ごそうとしえいる。とりあえず今は、一人になりたいという気分を優先させていた。
しかし――部屋を出ようとした時、愛美はふと足を止めそっと俺を振り返る。
「洋人さん」
「はい……?」
「その方と――お付き合いすれば、いいと思いますよ」
「え……」
その方とはつまり、奈央のことなのだろう。どうやらアイナとその兄との会話は、愛美にも真実として受け入れられたらしい。だが、それなら――
「愛――」
「また、連絡しますから」
引き留めようとする俺の声を打ち消すよう、微笑を向けた愛美はそのまま部屋を後にした。