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曖昧なままに
第15章 唯、興じて
その時――
「お願い……」
微かに耳に届いていた、愛美の声は――
「……?」
埋まる直前に、俺の動きを止める。
「お願いです。どうか、私を……見て」
その言葉には懇願するような、切ない響きがあった。
「……」
俺は焦っていた自分に気がつく。それは愛美の過去に対する、畏怖を振り払えない証。だからこそ俺は彼女を見ようとせずに、只の男と女の行為に逸ろうとして……。
愛美の言葉は、俺にそのことを知らしめていた。
「すまない。俺は、つい」
「いいえ……」
愛美は静かな動きで、身体をゆっくりと反転させる。俺の前に跪くと、股間の突起をそっと握った。
そうして、愛おしげを見つめた後――くちゅり、それをと口に運ぶ。
「ま……愛美?」
ねっとりとその形を、自らの口で確かめるようにして。一頻りそれを唇に通し終えて、愛美は言う。
「心の奥底ではずっと……貴方を迎えることを、望んでいて……。けれど、自分を見失ってしまいそうで……怖くて」
「……」
「だから、お願い……私を見守っていてください。私は洋人さんに……抱かれたい、の」
俺を見上げ、彼女は瞳を潤ませた。
その言葉と瞳の訴えが、単に男であろうとした俺を、中崎洋人という個人へと引き戻す。
「わかった。俺が愛美を……抱くよ」
今この時の胸の高鳴りは、欲望によって全てを支配されるたりはしない。そう信じて今度こそ、俺は愛美を抱くのだと心に決めた。
「愛美」
「洋人……さん」
布団に仰向けになった愛美に、俺は再び唇を重ねる。
触れ合う肌。互いの息遣いを感じて。
身体を重ね強く抱き合うと、俺たちは相手の存在を感じ合っていた。
「愛美……いいか?」
そして――俺は訊ね、て。
「はい……」
それに――愛美は応じる。
俄かに開かれゆく股。その芯部へと、俺は進んで行った。
愛美の顔――刹那の表情を見逃さぬように、一心に見つめる。
――ツプ。
「はぁ……」
突端を感じて、洩れる細くも深い吐息――。
ググッ――――
「ん……」
押入る予感を覚えると、その頬に赤みが差し。
ズ――ギュ、ギュ――――
「あっ……あっ……あっ……」
訪れの実感により、見開かれる瞳。そして、ついに――
――――――――ギチィ!
「お願い……」
微かに耳に届いていた、愛美の声は――
「……?」
埋まる直前に、俺の動きを止める。
「お願いです。どうか、私を……見て」
その言葉には懇願するような、切ない響きがあった。
「……」
俺は焦っていた自分に気がつく。それは愛美の過去に対する、畏怖を振り払えない証。だからこそ俺は彼女を見ようとせずに、只の男と女の行為に逸ろうとして……。
愛美の言葉は、俺にそのことを知らしめていた。
「すまない。俺は、つい」
「いいえ……」
愛美は静かな動きで、身体をゆっくりと反転させる。俺の前に跪くと、股間の突起をそっと握った。
そうして、愛おしげを見つめた後――くちゅり、それをと口に運ぶ。
「ま……愛美?」
ねっとりとその形を、自らの口で確かめるようにして。一頻りそれを唇に通し終えて、愛美は言う。
「心の奥底ではずっと……貴方を迎えることを、望んでいて……。けれど、自分を見失ってしまいそうで……怖くて」
「……」
「だから、お願い……私を見守っていてください。私は洋人さんに……抱かれたい、の」
俺を見上げ、彼女は瞳を潤ませた。
その言葉と瞳の訴えが、単に男であろうとした俺を、中崎洋人という個人へと引き戻す。
「わかった。俺が愛美を……抱くよ」
今この時の胸の高鳴りは、欲望によって全てを支配されるたりはしない。そう信じて今度こそ、俺は愛美を抱くのだと心に決めた。
「愛美」
「洋人……さん」
布団に仰向けになった愛美に、俺は再び唇を重ねる。
触れ合う肌。互いの息遣いを感じて。
身体を重ね強く抱き合うと、俺たちは相手の存在を感じ合っていた。
「愛美……いいか?」
そして――俺は訊ね、て。
「はい……」
それに――愛美は応じる。
俄かに開かれゆく股。その芯部へと、俺は進んで行った。
愛美の顔――刹那の表情を見逃さぬように、一心に見つめる。
――ツプ。
「はぁ……」
突端を感じて、洩れる細くも深い吐息――。
ググッ――――
「ん……」
押入る予感を覚えると、その頬に赤みが差し。
ズ――ギュ、ギュ――――
「あっ……あっ……あっ……」
訪れの実感により、見開かれる瞳。そして、ついに――
――――――――ギチィ!