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曖昧なままに
第2章 単なる男女
この時間なら、まだ電車に間に合うはず。そう思いつつ、俺は駅前ロータリーに車を滑り込ませた。
地方都市の駅舎にも、クリスマスのイルミネーションが、煌々と光り輝いている。
しかし車を停めた後も、愛美はそれを眺めて動こうとはしない。
「どうかした?」
そう訊ねると、愛美は少し間をおいてこんなことを口にする。
「この後……普通の恋人同士は、何をするんでしょうね?」
「さあ? 人それぞれじゃないかな」
そんな気の抜けた返事をした時だった。愛美の一言が、突如として車内の空気を一変させる。
「セックスとか――するのかな?」
「え……?」
思いもよらぬその言葉を、すぐには咀嚼できずに俺は唖然としていた。
すると、追い打ちの如く――
「――!?」
シフトに置かれた俺の手の上に、愛美が自分の右手を重ねる。冷ややかなその温度を感じて、俺の胸が激しい音を鳴らし始めた。
「……」
少し俯き押し黙った愛美は、流れ落ちる前髪によって、その表情を窺わせてくれない。
「あ、あの……」
重ねた手の真意を量れずに、上ずった声を洩らす俺に――。
「私に……教えていただけませんか?」
いつもより低い声で――愛美がそう囁いていた。
地方都市の駅舎にも、クリスマスのイルミネーションが、煌々と光り輝いている。
しかし車を停めた後も、愛美はそれを眺めて動こうとはしない。
「どうかした?」
そう訊ねると、愛美は少し間をおいてこんなことを口にする。
「この後……普通の恋人同士は、何をするんでしょうね?」
「さあ? 人それぞれじゃないかな」
そんな気の抜けた返事をした時だった。愛美の一言が、突如として車内の空気を一変させる。
「セックスとか――するのかな?」
「え……?」
思いもよらぬその言葉を、すぐには咀嚼できずに俺は唖然としていた。
すると、追い打ちの如く――
「――!?」
シフトに置かれた俺の手の上に、愛美が自分の右手を重ねる。冷ややかなその温度を感じて、俺の胸が激しい音を鳴らし始めた。
「……」
少し俯き押し黙った愛美は、流れ落ちる前髪によって、その表情を窺わせてくれない。
「あ、あの……」
重ねた手の真意を量れずに、上ずった声を洩らす俺に――。
「私に……教えていただけませんか?」
いつもより低い声で――愛美がそう囁いていた。