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曖昧なままに
第6章 肝心なルール
 その時、俺はどう思っていたのか? それは良く覚えていない。

 だが部屋に連れて来た時点で、俺が愛美の魅力に屈していた証拠だった。

「では――どうしましょうか?」

 部屋に入り何気にその中を見回した後、彼女は俺を見てそう訊いた。上目使いの視線と、部屋に二人きりという状況。それが俺の本能を、刺激する。

 そうだった。俺は既に、難しく考えることを止めていたのだ。だから言葉を発するより先に、行動へと移っている。

 俺は小柄な身体を抱き寄せ、徐にキスをした。

「ふっ……んんっ」

 いきなり唇を塞がれ、驚いた様子の愛美。暫し俺に応じた後、そっと胸を押して身体を離す。

「ひとつ……決め事を守ってください?」

「決め事?」

「私たち二人の間の――ルールです」

「一体、どんな?」

「私はできる範囲で、洋人さんの求めに応じるつもりです。でも、それはちゃんと言葉で伝えてください。それと、私ができないと答えたことを、無理にしては駄目……」

 そこには今のような、俺からの行為を禁ずる意図だろう。それに加え彼女が頑なに拒む、最後の一線を越えさせない為のルール。

 まるでその類の店を連想させるようで、馬鹿げている。そう一笑に付すのが、普通の対応だろう。

 そう感じつつも、俺は訊ねた。

「もし――ルールを破ったら?」

「――それで最期です」

「……」

 それで最期――とは、何を意味するのか不明。恐らくは、この関係が終わりになる。その程度の意味だと、俺は受け取っていた。

 はっきりとわかるのは、愛美は至極真剣であること。彼女は俺をじっと見つめて、再度俺に問い質す。

「守っていただけますか?」

 愛美の異様なまでに漆黒な瞳。全てを吸い込む闇の如きその黒色は、俺から意志を奪ってしまったのかもしれない。

「わかった」

 その返答を以て、結ばれた契約。プライドも常識も体裁も――様々な物が砕け散ったような感覚が苛む。だが抗うこともなければ、一方で俺を解放していた。


「では――私にどうして欲しいのか、それを教えてください」


 その声が、空虚と化していた頭の中に優しく響く。

 それに呼応し、脳裏に浮かびゆく幾多の劣情のシーン。

「愛美の――裸が見たい」

 俺はまずそう伝え――

「はい……いいですよ」

 愛美はクスとした笑みで、それを受けた。
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