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曖昧なままに
第7章 ディープな日
 愛美の舌を潤わせた唾液。それが尻の畦道を、ゆっくり下方へと滴る。

 恥辱の程近くの愛撫を受け、俺は何かに耐えるように目を瞑る。だがそれだけでは、逃避の意味を成さなかった。

 視界を閉ざそうとも脳裏は、行為の最中の自分と愛美の姿をイメージし映し出してゆく。

 清楚であり何処か幼さなくもあり、俺が好ましく思っている愛美。その可憐な唇が有ろうことか、俺の恥孔へと届こうとしている。ある種の背徳感が、否応なく高めゆく興奮――。

「ふふ……」

 俺の葛藤を知り尽した如き――笑み。愛美の舌は意図的に核心を裂け、執拗にその周囲を焦らし甚振り続けた。言い様の無い屈辱と快感が混同して、俺は身体をぴくぴくと震わせる。

 その反応を認めると、愛美は満を持したように甘く訊ねる。

「舐めて――欲しいのですか?」

「そ、そんなとこ……しなくて……いい」

「そう。でも、許して――あげませんから!」


 ――ツン!


「はあっ……!」


 中心を舌で突かれ、全身を迸る快感。想像を超えるその量に慄き、俺は反射的に腰を窄める。

 だが愛美は、逃すまいと腰を引き寄せ、十分過ぎる舌技の堪能を俺に科した。

 チャ、ピチョ――ツツゥ――クリッ――クチュリ――

 最初に――ふんだんな唾液でそれを満たし。

 次に――皺の一本一本に沿い這わせ。

 時折――舌先が芯部を抉るように突き押し――て。

 ――チュパ!

 そしてついに――接吻さながらに、強く孔を吸い上げた。


「ああっ!」


 思わず顔を上げ、俺は悲鳴に似た声を上げる。

 俺の尻を攻めたてる間にあって、愛美の右手は至極当然であるように、俺の陰茎をしごき続けていた。

 精神と肉体を襲う激しい辱め。これがこの世の出来事であることさえ、俺は見失ってしまいそうだった。

「それ程まで、感じてもらえると……私も嬉しいです」

 と、心底満足げな言葉を伝える愛美。

「では――仕上げさせていただきます」

 そして、俺の絶頂に導くことを予告する――。
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