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曖昧なままに
第7章 ディープな日
 その言葉を受けて湧き出す、俄かな期待は生じている。しかし俺の中にはまだ、それに抗うだけの何かが残されていた。総じて言うのなら、ある種の恐怖という感情に集約されるもの。

 愛美に殉ずる己が何処か恐ろしく、それが淫靡な期待に辛うじて勝った。

 愛美の『ルール』に於いて、俺が拒否することは別に違反ではない。それを念頭に置きつつ、俺は愛美に言う。

「それは、できないよ」

 身を委ね続けてきた俺が、初めて見せた些細な抵抗。それまで受けた行為と比べ、どれだけの差異があるのかと考えれば、今更だろうと自嘲したい気分にもなる。

 だからこそ――彼女の新たな顔に対する、それも恐れの表れだった。

「何故……できないのですか?」

 頻りに亀裂の辺りをチロチロと舐めながら、愛美はその意図を問う。

「何故って……」

「恥ずかしい……から?」

「それもあるが……とにかく嫌だ」

「だから――それが嘘です」

「あっ!?」

 驚き声を上げたのは、勃起したモノを強く掴まれたからだった。

 ベッドの弾力に、押しつけられていたソレを求め。愛美は俺の腸骨の辺りから、素早く両手を差し入れた。俺の腰に抱き着くような体勢で、その両手が俺を絞るように握り締める。

「ホラ、こんなに苦しそう。もっと――楽にしてあげましょ」

 急激な刺激に驚き浮かした腰。それが愛美の腕の力を借り、徐々に持ち上がっていった。

「く……」

 枕に顔を埋めたまま、膝を立て尻を突き出す。俺の最大の恥辱が今、愛美の目の前に晒されていた。

「よくできました」

 その言葉と共に、俺から手を放した愛美。衣擦れの音が耳に届き、愛美が着衣を脱いでいるのだと知れた。

 一度その姿に墜ちた俺は、既に動く動機をも失っている。

「では――ご褒美です」

 再び俺と触れ合った肌は、しかし新たな感触を臀部に伝えている。ふわっと柔らかな弾力が、俺の尻に緩やかに押し当たる。それが上から下へジワリと撫でてつけられると、二つのコリッとした先端がその存在を主張した。

 愛美の胸であると確信し、俺をゾワッとした快感が苛む。

 しばらくそれを愉しませ、愛美はまた舌を用いての愛撫に転ずる。

 つ――つつぅ――。

 尖らせたその舌先が、徐々に尻の深部へ向かい這う。

「う……」

 俺はその行く先を予感し、薄い声を洩らした。 
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