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魅惑の境界線
第24章 魅惑のFGC
クラブというのも何だか怪しげだけど
この人はなんとなく大丈夫そうだと思ったし
怖いもの見たさもあって
付いて行く事にした
「あの、何と呼んだら良いですか?」
「クラブでは橘 恭子(たちばな きょうこ)で登録してるから橘でも恭子でもいいよ。きみはどうする?」
「…じゃあ西野 優子(にしの ゆうこ)で」
東だから西、優人だから優子と
少々安直な偽名だ
「了解」

「そう言えば、僕の事『ユウコ』って呼んでましたよね?」
「あはは…これはあくまで持論というか、私的統計で『優子』と言う名前は美人が多いんだ…だからそう呼んでおいたんだ…えーっと、この辺りのはずだけど…あった…」
大通りに出た所で橘さんはキョロキョロとし、路肩に停まる車の方へ歩いて行った
「車で行くんですか?」
「駅前だから歩いても知れているけど15分はかかるし、せっかく車があるからね…どうぞ」
橘さんはその黒い車の後部ドアを開けると
自分は車道側に回り、乗り込んだ
「…どうぞ…」
「あ、でも…」
「大丈夫、帰りも送ってくるからさ」
「…じゃあ…」
乗り込もうと屈んだら
後ろの境界線がヒヤッとしたので
両手でスカートの太もも裏を押さえて乗り込み
ドアを閉めると、重たいドアはカチッと閉まった
座る前にもう一度スカートの後ろを撫で下ろしプリーツを揃えてから腰を下ろすと
「うわっ…っと」
思った以上に座席が沈み込んだので驚いた
尻が沈むと膝が上がり
膝上の境界線が緩んでいる気がして
スカートの裾を押さえるように両手を置いた
「…出てもいいかな?」
「はい」
「行ってくれ」
橘さんは何かスイッチを押して言うと
車は静かに走り出した

そういえば目の前に壁があって
運転手の姿は見えないし
後ろの席なのに広々しているし
外観も内装も高級車って感じだ
タクシーではなさそうだが…

「ふふ、優子ちゃんの仕草は自然で良いね」
「そ、そうですか?」
「思ってた以上かもね」
「?」
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