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第15章 暗闇と光
「あっ…あっ…ハァハァ…いくっ…
あぁ……」
彼が私の中で果てゆくその時に
私も果ててしまう
私の中の彼のあそこはドクドクと
激しく脈を打つように果てていった
シャワーで身体を流してもらい
二人で湯船に入る
薄暗いバスルームの外から
ぼんやりと光がさしている
彼に後ろから身体を包まれるようにして
ぼんやりとそこを見つめていると
いつかのアパートのバスルームを
思い出していた
あんなに嫌な思い出になってしまっていた
あの同棲生活が
現実だったとは思えないくらいに
遠くただ懐かしいだけに思えた
私は振り向き彼の顔をじっと見つめていた
「ん?どした?」
彼の優しい眼差しに
「ううん…大好き…」
と伝えキスをした
彼は
「ふふ…」
と照れくさそうに笑って
私を強く抱き締めた
ベッドに入り
手を繋ぎくつろぐ
「この手な…
俺手を繋ぐのとかありえないって
ずっと思ってたんだけどな…
美沙とこうするとなんか安心する…」
彼はそう言って不思議そうに
絡んだ手と手を眺めていた
「ん…私も…」
お互いが温かく
幸せな気持ちになって
自然と笑顔が溢れる
「少し眠るか?」
彼が気だるそうな私を腕枕に誘う
私は彼に足を絡ませしがみつくようにして
眠る
「ほら…もう足が冷たくなっちゃってるよ」
と彼が囁く
まだ幼い頃から極端に血圧が低かったせいか
冷え症だった私は
季節を問わず足が冷たくて
眠りにつきにくかった
母の布団に潜り込み
「ママ…足が寒いよ」
と言うと
母がぽかぽかと温かな足に私の足を挟みこみ
温めてくれていた
彼にいつの間にか自然にそうするようになり
なぜこんなにも安心して眠れるのだろうと
考えていたときに
ふと思い出した
こんなにも彼に身を任せ
安心しても良いのだろうかと
思っていた頃もある
でも私が泣いているときでも
笑っているときでも
暗闇にいるときでも
いつも彼は変わらない
そんな彼を見続けさせてくれていた
月日が
「信頼」
と
「安心」
を教えてくれた
私は何も恐れを知らない
子供の頃ってこんな気持ちなのかな…
とぼんやり考えながら
深い眠りについた…