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第15章 暗闇と光

少し前までは
暗闇の中に光がさしているように
思えていたこの穏やかな時間が

今は違って見える

私は以前の私ではない

彼と過ごす時間だけが
唯一自然で居られる場所

から

そうでない時にも
肩の力が抜けて
常に心につきまとっていた
何かが
なくなったような
そんな気がする

罪悪感がないと言えば嘘になる
不安がないはずもない

でも私を変えてくれたのは
間違いなく彼と
一緒に過ごした時間だ

それを
「依存」
と人は言うのかもしれないと
分かっている

でも私は
例え何と引き換えになったとしても
この時間を失いたくはない

彼の気持ちが変わらない限り…

諦めることには慣れてしまっている
気持ちを失ってしまった相手に縋るということが
どんなことか
よく知っている

私は彼に自分から何も望んではいない


願いは次第に要求に変化し
やがてただの我儘になってしまう
叶わなければ不満になる
不満が募ると信頼を失う


私はただ彼と過ごせる時間が一分でも
一秒でも長くありますようにと
ひたすらに祈っている

そのためにできることは
ただ彼を想う気持ちを大切にすること

そして私自身のことも大切にすること

それしか浮かばない

それが正しいのかは分からないけど
今の私にはそう思うことしかできない

「美沙は案外頑固なところがある」
と真美や彼は言う

夫は私をどう見ているのだろうか…

夫とは何も変化はない
喧嘩をすることもなければ
冷めた態度でお互いが過ごしているわけでもない

きっとこの平坦な夫婦生活のままで
いられるとしたら
夫から離れていかない限りは
続いていくのだろう

そしてきっとまた彼も同じだろう

変化を恐れているのは
この穏やかな時間までもを
失ってしまうことに怯えているからだろう

自然の流れに身を任せながら
その時その時に
一緒に考えれば良いと
長い目で見ていこう
と彼は言う

私もそれで充分だと
感じている

いつも
いつの時でも

顔を上げ
前を向いて歩いて行きたいと
強く思う私がいた
















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