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第18章 7年

あれから7年…

彼と私は些細な言い争いもなく
穏やかに共に歩いている

慣れ合うことも
飽きることもなく
あの頃からずっと変わらない

父の病気は進行し
昔の記憶ばかり言うようになった

穏やかに昔話をまるでつい昨日のように
話をする父の姿に

あぁ
もう自分のしてきたことさえ忘れてしまったのなら
私も忘れてしまえばいいと
そう考えることにした

母はそんな父の姿に
落胆していた時期もあったが
今は自分の趣味を楽しみながら
父と共に歩いている

「俺も歳をとったらみんなわすれちゃうのかな…」
父の様子を知る彼が言う

「昔の記憶とか
色濃い思い出とか…
そういうのはかなり残ってるみたいだから…
私のことは忘れないようにもっともっと
思い出を増やさなきゃね!」

「俺…病気になったり動けなくなったら
会社も引き上げて残りは全部美沙と居たいな
俺…お前に看取られたいわ」
真剣な顔で呟く彼の胸にそっと手を置いて


「そうだね…そのときはこうして
涼の大好きなわたしの膝枕でね…
でもまだまだ先は長いよ!」
と笑いながら彼の顔を覗き込む


いつまでなのか…

いつか…何かしらの変化が起きるのか…

誰にも分からない


分からないままでいい

分からなくてもいい

私はどんなときでも
彼の幸せを

彼の笑顔が少しでも多い一日でありますようにと
心から願う

好きな人の幸せそうな顔を
すぐ隣で見ていられることが幸せで

そんな風に感じることができるくらい
人を好きになれた私も幸せで

私の人生
捨てたもんじゃないな…
などと
思ってしまう

未来の私達のことは分からないけど
私はきっと
ずっと
どんなときでも
あなたを想ってしまいます

早く明日になりますように…


〜End〜







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