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35
第16章 35
「なにこれ?すごい」
バリスタを見つけた彼が言う
「篠原さんがね…くれたの
それからマグカップここで使いなって」
「照れ臭いなおい!
おじさん何も考えていないようで
案外すごいな
美沙良かったな!
じゃぁ俺が生まれてはじめて女にコーヒなんかを
淹れてやるか…」
説明書を見ながら彼がボタンを押す
「ほいっ乾杯!」
二人並んでコーヒを飲む
「ニコニコだな
お前幸せそうだ」
彼が私の顔を覗いて笑う
「うん
幸せだよ…心の底から幸せ」
私は彼の顔を見て微笑む
「俺…やばいな
全然まだかわいいなってドキッとする」
彼が照れくさそうに笑う
「やめて!恥ずかしいから!」
私も恥ずかしくなってしまう
「美沙行きたいとこないの?」
彼に聞かれ
「ないよ
涼と一緒ならここでもどこでもいいもん」
素直な気持ちを伝えた
「じゃぁ…
…いい?」
彼に聞かれ頷くと
車でホテルへと向かった
レストランで食事をし
部屋に入る
部屋の電話が鳴り
彼がそれに応えると
ドアのほうへと消え
すぐ戻ってきた
「や…ケーキ!
あれ?どうして?」
驚く私に
「へへ
一か八か賭けたんだ
多分美沙は行きたいとこ聞いても
言わないだろうなってさ
昨日電話して頼んでおいたんだ
これも生まれてはじめてね!」
と得意気な顔で笑う
「すごいね…涼…ありがとう…」
そう言って彼の頬にキスをした
「ロウソクに火着けてー
一人で歌うの恥ずかしいからせーの
ってこれも生まれてはじめてね」
彼が無邪気に笑う
「涼…
私ね…本当は産まれてきちゃだめだったんだって
ずっとそう思ってた
それを誰といてもかき消すことができなかった
でも涼に大切にしてもらって
あぁそんなことなかったなって
本当に思うよ…
ありがとう
私涼のこと…愛してる」
温かい涙が流れた
悲しい涙ではなく
優しい温かい気持ちの涙
涼は笑顔で私を抱き寄せると
「昨日から泣きすぎ!
なぁ…美沙…
一緒に歳を重ねよう
笑いじわがかわいいなって
お前ちょっと老けたか?って笑いながらさ…
お前とならそこまで行ける…」
そう言って私を抱き締めた
ケーキを食べると
ソファにもたれた
「苦しい…お腹一杯!」
二人で笑い合う
「美沙…」
彼が突然私を見つめて言った
「ダメだ俺…
我慢できない」
そう言って私を軽々持ち上げ
膝の上に私を乗せた…