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第16章 35
朝早く自宅に戻ると
夫が身支度をしていた
「大丈夫だった?
今日誕生日だろ?夕飯行こう」
私は笑顔でうなずいた
高速に乗り
事務所に着くと篠原さんが仕事をしていた
「おはよ!
朝涼太が居たんだけどさ…
実家のこと大変なんだね
おじさんで良かったらいつでも話聞くからね!
それと誕生日おめでとうね」
そう言って箱に入った大きなプレゼントをくれた
「え?やだ…すみません…
私そんな…」
「いいからいいから!」
そう言って包みを開けるようにと
私に言う
「あっ!嬉しい!
ありがとうございます」
私の好きなコーヒを事務所で
いつでも飲めるようにと
バリスタと
お揃いの色違いの
マグカップが入っていた
「涼太とここで使うといいよ
僕は最初からずっと君が涼太の側にいてくれたらと
思ってたんだ…
まぁ…
一般的にはあれだけど…
涼太は著しく変わって仕事へのやる気も増し続けてる
君が居なかったら涼太は変われないままだったと
思うよ…
ありがとうね」
篠原さんの言葉に涙が溢れた
「本当にありがとうございます…
仕事しますね!」
私はデスクに座りパソコンを叩く
「本当はねぇ…
あれが涼太の話に応じてくれれば
良いんだろうけどねぇ
僕も何度か話をしたことがあるけど
ちょっと変わってるというか…
精神的なほうの…」
篠原さんの言葉を最後まで聞きたくなくて
遮ってしまう
「大丈夫です…
私は何も変わらなくても
何かが変わったとしても
彼が私を必要としてくれている限りは
大丈夫です」
そう答えた
「ごめんね…嫌なこと言っちゃったね
でもとにかく君は涼太に絶対に必要な存在だよ
僕は黙って見守ってるからね…
朝もお昼までに戻らないとって
書類作ってくれって急かされてねぇ
そりゃ君の誕生日だもんねぇ」
目を細め優しく微笑む篠原さんに
つられて私も微笑んだ
「僕仕事終わったら上がるけど
機械使えるようにしておくからね」
そう言って箱を指さす
「ありがとうございます
私そういうの苦手で…」
「ははは
大丈夫大丈夫」
篠原さんが笑って言った
お昼前になると彼が戻ってきた
「美沙!誕生日誕生日!」
「お疲れさま
待ってよー分かってるから!
あともう少し!」
私は書類を片付け彼に笑いかけた