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第17章 私の道

36歳になった夜
彼とドライブで行ったのはあの海だった

「寒いね…」
と寄り添いながら防波堤に座り
キラキラと夜空一面に広がる星を見つめて
彼が呟く

「俺…感謝してるよ
こんな状態のままなのに一緒に居てくれて
俺の事誰よりも考えてくれて…」
照れくさそうにはにかみながら
私の手をとり指を強く絡ませた

私はその手にもう片方の手を重ね
「ううん…どんな涼でも大丈夫なんだよ
私こそいつもいつもありがとうね」
と彼の肩にもたれた


彼の好き嫌いや
眠っているときの歯ぎしりの癖
未だにシャイで
二人きりのときは甘えん坊なところ
曲がったことが嫌いな性格
弱さと強さ

全てが愛おしくて
たまらない

それはいつか薄れていくときが
くるのだろうか…

ずっとずっと
このままの気持ちでいられますようにと
心から願ってしまう

「美沙…俺はお前と生きていくぞ
お前がもういいよ〜って
飽き飽きするまでは甘えて甘えられてな…」
彼が私の髪をそっと撫でながら言った

嬉しくて幸せで
涙が溢れてしまう

「涼…
好きだよ…」
そう伝えることが精一杯だった

私達は繋がっている

出逢ったあのときから
少しずつ少しずつ
重ねた時間とともに深く繋がっていくような
そんな気持ちになる

涼…

私…
歳を重ねることが
不安だと感じていた

未来のこと
涼と私のこと…
家族のこと…

自ら身を引いてしまったほうが
先々のためになるのではと
そんな風に考えてしまったこともある

でも
やっぱり涼と歩いて行きたい

「茨の道でもお前となら幸せだ」
涼がよく言っていた

そうだね

一緒なら笑いながら歩けるね…







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