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第6章 不思議な契約

「いや~びっくりした
謙さんが女の子連れてくるなんて
いつからこんな若い子と
謙さん女嫌いなのかと思ってましたよ
事情は聞かないけど
こっち側は男だらけだし、デリカシーがないのも
いるから俺になんかあったら言って」

横山さんが優しく笑う

夕方近くになると
次々にスーツ姿の男の人がデスクに座る

10人ほど集まると
がやがやと話声がする

「美紗、男子校みたいだろ
一番右がマッサージ店の社長で鈴木拓
隣はクラブの社長で…覚えるの大変か
少しずつ覚えればいいから」

そう言って謙さんが笑った

「はい、おはようございます
まずは昨日の報告から」

謙さんが言うと一人一人が
お客さんの数と売り上げ
そして営業中の様子を報告する
問題点があるとみんなで話し合い
それを謙さんがパソコンに打ち込む

「美紗パソコンできるか?
できるなら明日から
これやってほしいから見て覚えて」

謙さんがパソコン画面を指さしたので
それを見つめる

全ての報告が終わるとそれぞれが
電話やパソコンに向かう

「みんなそれぞれが社長だ
その下に店長がいてスタッフがいる
社長はみんな自分が独立したいと思って下積みして
勉強して店をもつんだ
みんな助け合いながら各店舗経営してる
美紗にもゆくゆくは店を自分で持ってほしい」

私はきょとんとしてしまう

「あはは、まぁいいさ
気長にいこう」

そう言って謙さんが笑った

「じゃぁみんなが気になって仕方ないけど
聞けなかった彼女の紹介をします」

横山さんが笑って言うと
みんなが一斉に私を見た

「美紗さん、謙さんと行動を共にします
キャストさんには事情があってなれないので
こちら側で働いてもらいます」

そう言うと
みんなが

「よろしくお願いします」

と言ったので
私も立ち上がって挨拶をした

そしてみんながこれから開店する自分のお店へと
向かって行った

「緊張した?
あんなに男だらけじゃな
さて店まわりだ」

謙さんについて各店舗をまわる

営業中は店内には顔を出さず
カメラをチェックしたり
事務所で話をしたり
忙しくて手の回らないスタッフの代わりとなる

私は見たことのない
夜の裏の世界を興味深く思った

華やかな外側とは違う
異空間に
こちら側のほうがいいな

そう思っていた


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