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第7章 生きるということ
聞いていた車種とナンバーで確認し
車を降りて声をかける
一緒にファミレスに入り話をはじめる
「はじめまして、本日面接をさせていただきます
佐々木です、よろしくお願いします」
私は緊張していたけど
相手に緊張がうつってはいけないと
にこやかに冷静を保つ
23歳
経験あり
離婚したばかりで子供との生活が苦しく
クラブで働きたいとのこと
飛び出すように家を出て友人の家にいるため
寮に住みたいこと
できればお給料を全額日払いでほしいこと
私はメモをとりながら
彼女の話を聞く
「女性が面接するんですね
珍しいと思って、でも怖そうな男の人より
良かったです
話やすいし」
そう言って微笑んだ彼女を見て
私も
「そう言っていただけると嬉しいです
ありがとうございます」
と言って笑っていた
話をひととおり聞き
後日連絡しますと伝えると
事務所に戻った
あとから面接を終えた謙さんに
報告をする
「美紗はどう思った?採用か不採用か」
「いや、それは私が判断できないよ
よく分からないし…
でも言葉遣いも丁寧だったし困ってるみたいだし
かわいい人だったよ」
謙さんが
「じゃ、採用の電話してあげて
今日からでも働いてくださいって」
「え、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫、自分を信じて
人は腹の中なんて簡単には見せないから
俺にだって分からないよ
直感と美紗に教えた要点さえクリアできていたら
ひとまず採用だよ
ただ、いろんな子がいるからな…
美紗にも勉強になるよきっと」
私は彼女に電話をして採用を伝えると
今夜からの出勤が決まった
「オープン前に一度そこの店に行って
その子にこれからのこと話すから」
そう言って謙さんがすぐに寮と託児所の手配をした
夕方お店に向かうと彼女が座っていた
髪をセットしてドレスを着る彼女は
キラキラしていた
「あ、お姉さん!ありがとうございました」
「いえいえ、頑張ってくださいね!」
私が言うと彼女はほっとしたように笑っていた
「お姉さんて…」
謙さんが笑っていたので
「面接のときに私が年下じゃ頼りないかなと
思って26歳って言っちゃったんだ」
私が正直に言うと
「それもそうだな
じゃぁ美紗は仕事中は26歳で決定だな」
と謙さんが笑いながら言った