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第7章 生きるということ

毎朝7時に起きて部屋の掃除を済ませ
シャワーを浴びる
お化粧をして身支度をする

10時を回る頃に謙さんが戻って来る

すぐ近くのカフェで一緒に朝食を済ませ
日中オープンするマッサージ店や風俗店をまわり
合間に面接や用事を済ませる

夕方や夜の空いた数時間で部屋に戻って
仮眠するときもあれば
できない日もある

閉店後に再びお店をまわり
売り上げの計算や話し合い
キャストさんの送りなど
朝方まで動く日もあった

謙さんは気を使って

「美紗は閉店作業が終わったら先に帰ったほうがいい」

と言っていたけど
私は一人で帰るのも
みんながまだ仕事を終えていないのに
自分だけ帰るのも嫌で
終わるまで私も動いたり待っていたりした

帰宅してお風呂かシャワーに一緒に入り
謙さんが私の髪をドライヤーで乾かしてくれる
長い髪を乾かすのが面倒で少し短くしたいと
言った日から謙さんがそうしてくれた

ベッドに入ると
謙さんは私を抱きよせ背中や肩を
トントンと一定のリズムでたたく
はじめは子供扱いされてるようで嫌だったけど
いつしかそれがないと寝付けないようになっていた

すーっと気を失うように眠りにつく
7時すぎにはすっきり目が覚める

謙さんはいつもいつの間にかいない…
よほどそっと部屋を出て行くのだろう
私は一度も謙さんが出て行く気配に
気付いたことがなかった

目が覚めると毎日小さなメモに
達筆な謙さんの一言がある

「おはよう、昨日の新しいスーツ似合ってたよ」

「おはよう、今日の午後は温泉に行こう」

「おはよう、寝顔がいとおしいよ」

「おはよう、あいしてるよ」

それは毎日続いた

私はそのおかげか
目覚めたときにさみしいと感じることはなかった

謙さんははじめてのエッチのときから
しばらくの間求めて来なかった
私は不思議に思っていたけど
何も聞かなかった

ある日お店の定休日が重なり
夜ゆっくり過ごせるからと
お部屋に露天風呂のついた旅館に泊まった

夕食に少しだけ謙さんのビールに付き合った

目の前に大きな川が流れ
竹林がライトアップされた夜の露天風呂は
日頃の疲れを癒してくれた

ビールと温泉で熱くなった身体にタオルを巻き
お風呂のすぐ横の椅子に座って風にあたる


「美紗…タオル外して…そこで…俺に見せて」

謙さんが言った





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