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女は抱かれて刀になる
第6章 明日も、あさっても
年下の少女相手に、一回りも二回りも大きい虎徹が頭を下げるのは、滑稽な姿である。しかしそれは和泉にとって、最も愛おしく嬉しい言葉だった。
「――虎徹の、ばか」
消えそうに小さな声と、すすり泣く音に、虎徹は恐る恐る顔を上げる。すると和泉が胸に飛び込み、縋りついてきた。
「ばか、ホント訳分かんない! そんな大事な話、エッチな事する前に言わないでよ!」
「わ、悪い。いや、ちゃんと言っておかなきゃと思ったら、つい」
「こういう話は綺麗な夜景の見えるお店で、サプライズでなんか美味しそうな料理出た後に指輪出して、雰囲気醸し出しながらするものだと思ってたのに!」
和泉の文句に虎徹はたじろぐ。だが和泉は勢いを弱める事なく、怒鳴りながら言い放った。
「大体そんなの、ボクが嫌だって言う訳ないじゃん! いつも勝手な事言って振り回すくせに、なんで今日だけそんな丁寧なの!」
「いや、だって結婚は俺が無理やり進めるもんじゃないだろ!? さっきの一文字じゃないが、広い世界を知ったらお前が俺に愛想尽かす事もあるかもしれないし、そん時バツがついてたら困るのはお前だろ」