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深海のパンツァー
第13章 11-セイレーンの涙
「て……敵は……沈む……ふ……ね……」

紅葉が呻くように声をだした。
口端から血が大量に滴る。

しゃべるな!と紫苑は思った。
しかし、彼女は見たのか?敵の姿を―-

「ハ……ハッチを空けて空気を艦内に取り込んでたっ」

紅葉は淡い蒼天を見つめたまま。
口を動かす。


―-沈む船……酸素。



「ぶはっ」

血を吐き出す。
紫苑の顔は血で赤く染まった。

「わかった。もうわかったからしゃべるな!」


紫苑の肩にベクトルが手をのせた。

「深海のパンツァーは俺も確認している……紅葉は果敢にも敵の対空放射を避け、投擲したんだ」

そう言ってベクトルは紫苑を立たせた。


すると紅葉と同族の姑獲鳥たちが泣きながら紫苑をどかすように紅葉を囲む。
紅葉の名を何度も連呼し、泣き叫んだ。

「こ……っ」

紅葉の言葉に反応した同族が彼女のポーチをまさぐる。
取り出したのは写真。
彼女が子供たちに囲まれている写真だ。

彼女の目に映るように差し出される。

「あ……あたしの……子供たち……」

彼女の目から涙があふれ出る。


神官のマリアが駆けつける。紅葉を回復させるため、イヴァリスの女神アテネステレスに祈る。
そのイヴァリス最高峰の神聖魔法で撃たれ、焼かれた彼女の身体は見る見る回復していくように見えた。
だが、それは傷口が塞がり、溢れる血を浄化していくのみ。

マリアは手から溢れる白い光を放ったまま、残念そうに紫苑に首を振った。



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