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深海のパンツァー
第14章 12-レオンハルトの決断
「これを……」

乗員からポーチが渡される。

「何か入っていたか?」

「…………」


乗員は口をつぐむ。

レオンハルトはポーチを開く。
そこには彼女と恐らく子供たちであろう写真。
そして、子供たちが描いたであろう彼女の似顔絵や船、動物、父親と思われる男性の顔などが描かれた小さいスケッチブックがあった。

レオンハルトは遺体を見る。
目尻に光が―-

「泣いている?」

レオンハルトは恐る恐るハーピーに触れる。
一切濡れてなどいない。

海水…………?

「敵艦の艦長はあの状況でモンスターの遺骸に冥福を祈ったのか?」

涙…………
何故か戦いの虚しさが伝わってくる。

海の戦士なら誰でもしっている海龍リヴァイアサン伝説。
そしてその怒りを静めた海の女神セイレーンの伝説。

ロージアにもセイレーンの伝説は有名だ。
彼女の涙でリヴァイアサンは深海に帰っていったという。


人間に恋した海の魔蔟の伝説は各地でおとぎ話となって語り継がれている。



「敵にも……モンスターにも帰りを待つ家族がいるんだ。
そして、あのパールバレット戦から間もないのに傷が癒えている……」

レオンハルトは乗員にポーチを渡す。

「彼女に(戻して)、そして……丁重に海へ」

そう言うと多目的室にグーンが入ってくる。回収したモノを確認に来たのだろう。
レオンハルトはグーンに一礼して艦長室に向かう。




そして考えた後に指令室に戻った。


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