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深海のパンツァー
第14章 12-レオンハルトの決断
―-ビリビリーーーッ
グーン航海長が海図を破る。

一言も発さない。
海図を破るという叫びが彼の返事である。

このレオンハルトの言葉は伝通管を通ってゲイツの耳にも入っているだろう。



この戦いはリヴァイアサンの圧倒的勝利で幕を下ろすはずであった。

戦場で軍人が戦死する。
どこにも疑問点はない。

貴族出身のゲイツ少佐であっても散っていった多数の連邦兵となんら変わりはない。



後にレオンハルトは投降した罪を軍上層部に告発した。

連邦軍の投降は違反ではない。
だが、敵兵を助けることは敵前逃亡扱いにも等しいと世論が彼を非難するだろう。

多くのロージアの英雄たち。
それを奇襲という方法で襲った天津の軍隊を救助するなど。
遺族に対してレオンハルトが背負った海軍艦長職としての責任。


--*--

リヴァイアサンは敵艦に近い位置まで潜行接近する。
レオンハルトは白旗となる布を用意して、自らの軍服は一度も着ていない綺麗な軍服を着用した。
黒を基調とした軍服に金色のラインが映える。そしてロージアの紋章が刻まれる兜。

艦長室を出るとグーン航海長が待っていたかのように立っている。
彼も整備された制服で身なりを整えていた。

手には信号灯が握られている。

「このまま浮上する」

グーンは壁を見据えたままレオンハルトに伝えた。



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