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改訂版◆散る華如く
第3章 02・墓場での出来事
着物の型を取り、反物を切っていると
手が滑って指を切ってしまった。
「いたっ・・・!!」
――だが。
「え・・・?」
血が止まり、傷が塞がっていく。
(どうして?傷が塞がったなんて・・・)
「藍さんに言ったって答えてくれないだろうし・・・そうだわ。」
(お母様に相談してみよう・・・)
彼女はそっと店を抜け出すと
母と妹の眠る場所に向かった。
***
「お母様、瑠花・・・久しぶりね。」
しをなは墓石を掃除しながら
冷たい骸となった二人に語りかけた。
「―最近は、なかなか来れなくてごめんなさい。今でも大好きよ、二人のこと。」
「―ねぇ、お母様。わたし・・・傷が一瞬で治ってしまうの。」
「瑠花、あなたを護れなくてごめんなさいね。これじゃあ姉失格ね・・・」
自身を嘲るような、苦い笑みを浮かべて言った。
『おねえちゃんはしっかくなんかじゃない!すてきなおねえちゃんだよ・・・』
『そうよ、しをな・・・』
「お母様、瑠花・・・!!まぼろし、なの・・・?」
『いいえ、あなたの目の前にいるわ・・・』
かすかに透き通った、しをなに良く似た母は
優しく微笑んでいた。
『良く聞いて、しをな。あなたは・・・』
二人は何か―見えない力に引っ張られるかのように
どんどん遠ざかっていく。
「待って―。」
手が滑って指を切ってしまった。
「いたっ・・・!!」
――だが。
「え・・・?」
血が止まり、傷が塞がっていく。
(どうして?傷が塞がったなんて・・・)
「藍さんに言ったって答えてくれないだろうし・・・そうだわ。」
(お母様に相談してみよう・・・)
彼女はそっと店を抜け出すと
母と妹の眠る場所に向かった。
***
「お母様、瑠花・・・久しぶりね。」
しをなは墓石を掃除しながら
冷たい骸となった二人に語りかけた。
「―最近は、なかなか来れなくてごめんなさい。今でも大好きよ、二人のこと。」
「―ねぇ、お母様。わたし・・・傷が一瞬で治ってしまうの。」
「瑠花、あなたを護れなくてごめんなさいね。これじゃあ姉失格ね・・・」
自身を嘲るような、苦い笑みを浮かべて言った。
『おねえちゃんはしっかくなんかじゃない!すてきなおねえちゃんだよ・・・』
『そうよ、しをな・・・』
「お母様、瑠花・・・!!まぼろし、なの・・・?」
『いいえ、あなたの目の前にいるわ・・・』
かすかに透き通った、しをなに良く似た母は
優しく微笑んでいた。
『良く聞いて、しをな。あなたは・・・』
二人は何か―見えない力に引っ張られるかのように
どんどん遠ざかっていく。
「待って―。」