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Dolls…
第8章 古傷




















「あなたは、今の俺を許さないでしょうね…」





















━━━━━━━キィッ…




椅子にぐったりしたまま10分ぐらい経っただろうか。

ようやく下半身に感覚が戻り、恐る恐る床に足を付かせ体を支えながら起こして行く。

生まれたての小鹿みたい震えてはいるが何とか立ち上がれた。

ふらふらになりながも足を前に進ませて、隣のスタジオまで移動した。

半開きに開け放たれたドアを開けると、椅子に腰かける椎葉さんの背中が見えた。


「……っ。歩けたか?」

「…何とか」


椎葉さんの貸してくれたカッターシャツを身に纏ってみたがやはりワンピースみたいなサイズだ。

私の体丸ごと、膝を隠すまですっぽり収まってしまった。

私の方を振り返る椎葉さん。



だけど、椎葉さんの手には何かが握られていた。

掌に収まるぐらいの小さな何か。


私の気配に気づいた途端に手を握り締めてそれを隠してしまったが。

「今は俺のシャツで我慢しててくれ」

「……………。」


何事もなかったかのように、冷静を装う椎葉さんだけど。

心無しか何だか寂しげに見える。



「……何してたんですか?」

「何って…、お前を待ってた。さすがにその足じゃ階段はまだ登れないだろ?」



この地下に降りるまでの階段はやけに長い。

確かにこのふらふらの足で階段を登り切る自信はないが。


私を待ってた、って…

階段を登るサポートでもしてくれようと言うのか…。


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