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Dolls…
第10章 美しき獣
びしょ濡れのパーカーの男を見つめながら、恐る恐る口を開いた。


まさか…、まさか…、と思いながらも









「シュ、シュウちゃ…ん?」



















地元にいるはずの私の幼馴染みの平 修也の名前。

1週間に1度は私の携帯に電話してきて、東京に住む私の心配をしてくれてた幼馴染みのシュウちゃん。




すると、パーカーの人物はフードを脱ぎ去った。

私の目の前に現れたのは










「久しぶり」

「━━━━っ!!」











フードを取った男の顔を見た瞬間、息も、心臓も…、止まってしまいそうになった。


これは…、夢…?

あまりの恐怖で幻でも見てるの?

それとも、あの部屋で私は失神してしまって…、こんな夢を見てるの?











私の目の前に現れたのは、紛れもない

私の幼馴染みの、平 修也。








笑顔のシュウちゃんだった。












「シュウちゃん!」

「ったく。後ろから何回も名前呼んでたのに」






嘘…?

恐怖で逃げることで必死で、シュウちゃんの声など私には一切届いていなかったのだ。







ううん。

そんな事より、何でシュウちゃんがここにいるの…?

どうして、こんなところに?









「ど、どうしてここに…?」

「まぁ、話せばちょっと長くなるかな」




そりゃそうだ。

私がここにいるってどうしてわかったんだろう?

それなりの理由があるのだとは察しが付いたが、それでも私はまだ信じられなかった。

シュウちゃんが目の前にいるこの現実が。

この時の私は驚きのあまり気づいていなかったけど

















シュウちゃんが目の前にいる今この瞬間に、私の狂った人生の第二幕が

静かに幕を上げていた。














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